Supermarine S.6B
1931年のシュナイダートロフィーレース、前年まで連続優勝しトロフィー獲得に王手をかけたイギリスは予算不足などの理由で一旦は不参加を表明した。しかし、ある英富豪がスポンサーを申し出て、急遽参加を表明した。短かい準備期間のもと、機体はスーパーマリン、エンジンはロールスロイスに開発が命じられ、ミッチェル技師のもと、前年の優勝機であるS6をベースに、2350hpにパワーアップされたR発動機を搭載してレース直前に完成したのがこのS.6Bである。対する宿敵イタリアはカストルディ技師による究極ともいえる水上レーサーマッキMC72に賭けるが、事故による開発の遅延でついに出場不可能に陥る。レースは結局挑戦者のいない、このS.6B3機だけのだけの寂しいものになり、1機がコースを完周する事で優勝が決定し、あっけなくトロフィーは永久にイギリスのものとなった。ただ、優勝が決定した後に速度記録挑戦が行われ、平均609.3kmという新記録を樹立することでレースに彩を添えている。積年の苦労が実らなかったイタリアではあったが、後にMC72で速度記録に挑戦し、1934年に709km/hという現在でも破られていないレシプロ水上機としての世界記録を達成して意地を見せている。
発動機:ロールスロイス”R”2350hp 総重量:2760kg 最高速度:609.3km(3kmコース平均)
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